法律に関する知識

2014年12月16日 火曜日

かつて自殺があった建物が建っていた土地の売買について

二十数年前に建物内で自殺があり、その建物が自殺から約1年後に取り壊され、
本件売買の時は更地であった場合に、宅地建物取引業者がその事実を買主に
説明しなかったことが、不法行為に当たるとされた判例がありました(高松高判
平成26年6月19日)。
判例では、自殺から約四半世紀が立ち、自殺があった建物は自殺の約1年後に取り壊され、
たとえ本件売買契約時点では更地となっていたとしても、
マイホーム建築目的で土地の取得を希望する者が、建物内での自殺の事実が近隣住民の
記憶に残っている状況下において、他の物件があるにもかかわらず、
あえて本件土地を選択して取得することは考えにくい以上、
宅地建物取引業者が本件土地上で過去に自殺があったとの
事実を認識していた場合には、顧客にこれを説明する義務があるとしました。
売買の対象が自殺があった建物そのものではないこと、今から二十数年前の出来事であることからすれば、
説明義務の対象となるかどうかについては議論の余地はあります。
しかし、その自殺が社会的に注目を集めた殺人事件と関連して理解されており、
近隣住民の記憶するところとなっている場合には、
宅地建物取引業者が自殺があったことの認識がある場合には、説明義務が課せられ、
それを果たさない場合には不法行為となる場合がありますので注意してください。

投稿者 荻須総合法律事務所

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