法律に関する知識

2014年12月22日 月曜日

賃料保証会社からの弁済と賃料不払いに基づく解除

判例時報2234号に掲載されていた、大阪高判平成25年11月22日の判決です。
マンションの賃貸借について、保証会社と家主が賃料について契約をしており、
家主が保証会社から10か月分の弁済を受けました。
家主は賃料不払いによる賃貸借契約の解除を求め、訴訟提起しました。
判決では、保証会社からの代位弁済の事実は、賃借人の賃料不払いという事実に
消長をきたすものではなく、賃貸借契約の解除原因の発生という事態を妨げるものではない
ことは明らかであるとして、賃貸借契約の解除を認めた一審と同様の結論を認めました。

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2014年12月16日 火曜日

かつて自殺があった建物が建っていた土地の売買について

二十数年前に建物内で自殺があり、その建物が自殺から約1年後に取り壊され、
本件売買の時は更地であった場合に、宅地建物取引業者がその事実を買主に
説明しなかったことが、不法行為に当たるとされた判例がありました(高松高判
平成26年6月19日)。
判例では、自殺から約四半世紀が立ち、自殺があった建物は自殺の約1年後に取り壊され、
たとえ本件売買契約時点では更地となっていたとしても、
マイホーム建築目的で土地の取得を希望する者が、建物内での自殺の事実が近隣住民の
記憶に残っている状況下において、他の物件があるにもかかわらず、
あえて本件土地を選択して取得することは考えにくい以上、
宅地建物取引業者が本件土地上で過去に自殺があったとの
事実を認識していた場合には、顧客にこれを説明する義務があるとしました。
売買の対象が自殺があった建物そのものではないこと、今から二十数年前の出来事であることからすれば、
説明義務の対象となるかどうかについては議論の余地はあります。
しかし、その自殺が社会的に注目を集めた殺人事件と関連して理解されており、
近隣住民の記憶するところとなっている場合には、
宅地建物取引業者が自殺があったことの認識がある場合には、説明義務が課せられ、
それを果たさない場合には不法行為となる場合がありますので注意してください。

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2014年10月28日 火曜日

交通事故の被害者の将来介護と定期金賠償

平成25年7月4日に、福岡地裁平成23年(ワ)第2604号で
将来発生する介護費用等の損害に関する賠償の方法として、
定期金賠償の方法により賠償を受けることが相当であるとする判決が出ました。
被害者は事故当時、2歳7か月でした。
判決では、原告が将来請求については定期金賠償の方法によるべきことを
強く希望していることに加え、将来介護費等は、将来にわたって定期的に
支出を要する費用であり、原告の年齢に照らし、
その介護期間は相当長期に及ぶことが予想され、
定期金賠償による賠償方法になじみやすいことを考慮すると、
これらの賠償については、定期金賠償の方法により
賠償することを命じるのが相当であると判断しました。

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2013年4月15日 月曜日

集合住宅と騒音

マンション等の集合住宅で騒音が気になるという方に
参考になる判例です。

東京地方裁判所判決/平成20年(ワ)第37366号(判例時報2155号71頁)
1階の住民が、深夜まで飛び跳ねるなどの行為におよぶ2階に住む子どもの騒音により、
自律神経失調症に罹患したために、騒音の差し止めや損害賠償請求等を求めたという事案です。

裁判所は、本件騒音が2階の住民によって発生した騒音であること、
その騒音が時間帯によっては受忍限度を超えること
を認定した上で、
一定の限度で差し止めと損害賠償を認めました。

小さなお子さんを持つご家庭は、階下の方に
一定の配慮が必要ですね。

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2012年9月10日 月曜日

内縁解消後、財産分与の審判手続中に分与義務者が死亡した場合において、財産分与義務が相続されるとした判例

内縁関係解消後、分与義務者が死亡した場合について、
財産分与義務が相続されるとした判例
(大阪高裁平成23年(ラ)第905号、1024号)が
判例時報第2154号に掲載されていました。

ちなみに、
内縁関係が死亡により解消された場合には、
内縁配偶者には相続権はありません
(最決平成12年3月10日)。

内縁関係が解消される前に内縁配偶者が死亡した場合と、
内縁関係が解消された後に内縁配偶者が死亡した場合とで、
内縁配偶者の財産的地位は大きく変わってしまいます。
今後の検討課題だと思います。

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